一級建築士試験 合格体験記

資格

2019年に1級建築士を受験した時の体験談です。製図試験が10月の予定から台風で12月まで延期となった不運な年でした。少しでも参考になれば幸いです。

受験することを決める

きっかけは建築士法の改正

建築士法の改正により、2020年(令和2年)の学科試験から大学の指定科目を修了すれば一級建築士が受験出来るようになりました。今まで実務経験2年を積まないと受験資格がなかったのですが、
大学卒業後すぐに受験が可能となりました。大学院生も条件を満たしていれば受験が可能ということになります。

そこで2018年の9月ごろ、某資格予備校の担当者から電話が有り『2019年の来年に取りきらないと翌年から競争率が上がってハードになることが予想される』と言われ、もともと受けようかと思っていたこともあり、そのまま予備校へも通うことにしました。

予備校に通い始めたのはいつからか

私が予備校に通い始めたのは2018年の12月でした。実はこの年、インテリアコーディネーターも受験しており、12月初旬に2次試験を控えていたため、予備校への通学はその後にしました。

大学の友人は2018年夏ごろから予備校の授業がスタートしていたようなので、私は遅めでした。9月ごろの授業では、映像授業を中心に学科の勉強が進んでいたようです。12月の授業からは、実際に講師による授業でした。

受験を申し込む

5月に受験を申し込みました。郵送での提出と直接の提出が可能でしたが、私は建築士会に直接持ち込みました。もし書類に不備があった場合、郵送だと返送や再提出で申し込みが遅れてしまいます。当たり前のようですが、郵送の場合も直接の場合も、余裕をもって申し込みをすることをおすすめします。
※建築業界にお勤めの方はほんとに時間がないとは思いますが、ここはしっかり

ちなみに、私の申し込み会場には某資格予備校のブースもあり、提出前に申込書類の確認もしてくれました。

予備校の有料講座について

あえて某資格予備校と書いていますが、高額で有名な予備校です。講師の質や教材のわかりやすさはその分良いと感じております。


某予備校では、実際に契約時に支払った金額以外に追加で有料講座もありました。その都度、受けた方がいいのか?と私自身迷ったので、私なりの受けてみた感想で言うと、GWの有料講座がためになった印象です。その他は受けなくてもどこかで挽回できるかも。

また、講義後に補講がついているコース(アウトプット)もありましたが、私は講義のみのコースを選択しました。その代わり、授業の後に居残りで宿題や復習を行い、補講が終わったころを見計らって先生を捕まえて質問していました。自学自習よりも授業してもらったほうが勉強するというタイプの方にはアウトプット講座はいいかもしれません。

勉強法について

某資格予備校の終盤は模試だらけです。そのおかげで試験慣れすることも出来ました。模試の問題は選択肢まできちんと理解するようにと毎度言われるのですが、正直働きながらだと全然時間が足りなかったです。ただ、ここで差がつくとも思っていたので必死に食らい付きました。

私の勉強法ですが、教科書を自分用最強参考書にしたかったので、ノートではなくひたすら教科書に書き込みしてました。わからなかった選択肢に関するページに、空きスペースやふせんを利用して、選択肢ごとメモして出題例として見直せるようにしていました。一級建築士の学科試験は科目も多いので、ノートを用意していたら膨大な量になるので、試験前の見直しは教科書(自分参考書)だけで完結出来るようにしていました。

最初に時間をかけた科目と後に追い込んだ科目

基本的には5科目バランスよく勉強するのが一番ですが、
最初に時間をかけていた科目は、私の場合断然 構造 でした。
さらに配点も大きいので、構造を得点出来なければ足切も怖いです。構造は理解するのにかなり時間がかかりました。(ルートのあたりなんか特に)
また、もともと実務で構造の分野をほとんど扱っていなかったため、余計に時間がかかりました。大学時代の友人は構造設計をしていたこともあり、あまり時間をかけていないようでした。

後に追い込みをした科目は、 施工 でした。
施工に関しても、実務でほとんど扱っていない内容だったため、最後は無理やりゴロを作って暗記していた範囲が多かったです。とにかく暗記量が多い。なぜこうなっているのか、ということを理解することで暗記しやすくしていました。

これはあくまでも私のケースです。施工も配点が高いので、最後の詰め込みだけだと得点に結びつかないのでお気を付け下さい。

7月 学科試験

学科試験当日 試験中のこと

計画と環境で2時間、法規で1時間45分、構造と施工で2時間45分 という時間分けでした。毎年この配分になっているかと思います。時間内であればどの科目を先に解いても問題ないです。

計画・環境

試験開始直後に環境で使う公式関係を問題用紙にメモしたあと、暗記も多い計画の問題に取り組んでいました。環境の公式は覚えづらいものもあるので直前まで見直してすぐにメモ出来るようにしていました。

法規

お昼のあとなので、集中力が途切れそうになりますが、粘りました。まず、法規は時間が足りません。すべての選択肢を法令集で引く時間はないため、最初に問題を読んで2択まで絞って、片方の選択肢を法令集で引いて答えを決めていました。片方を引いても迷うようであれば、もう片方も法令集を引きます。まずは全問終わらせることを最優先し、不安な問題はあとから見直すようにしていました。

構造・施工

構造の計算は暗記ではなく解答出来るので、後回しにして進めていました。とにかく暗記系を先にやる!直前で見た内容が出たりすることもあり得ます◎あとはもう疲労感と闘っていました。この2科目の2時間45分が試験的にも一番時間に余裕があるので見直しは十分に出来ました。

学科試験後の流れ

自己採点会

自己採点をするために、問題用紙に選んだ選択肢を残しておきます。試験終了後、その足で某資格予備校へ向かい自己採点を行います。自己採点会場は人であふれかえっていました。軽食なんかももらえました。私の教室の場合、点数の高い順に名前を呼ばれ、名前を呼ばれた人だけが別教室に移動するというなんとも緊張感のある予想合否発表でした。

製図試験対策講座スタート

製図試験対策講座がスタートする時点では、実際の学科の合否はわかりません。合格ラインぎりぎりの人は、製図試験対策の講座を受けるかどうかの判断を迫られます。またマークシートにミスがある等のアクシデントも考えられますので、合格発表までは緊張感が続きます。

私の受験した2019年の合格基準点は 97点 でした。
近年稀にみる基準点の高さでした。そのため製図試験に向けて勉強をしていて、学科合格発表後にいなくなる生徒も何人かいました。

10月 台風で製図試験が延期になる

製図試験前日 

試験前日は、台風接近の情報はニュースなどでも出ていましたが、試験元からなかなか中止や延期の判断が出ませんでした。台風が接近しており、前日も豪風雨でした。そのため前日予定していた直前講座はWEB授業となりました。

午後3時ごろ、試験中止の発表がありました。
もう少し早く発表してほしかったですが、仕方なくあきらめて寝ました。

実施となることを想定して試験会場近くのホテルで前泊している人も何人かいましたが、中止と決まってからはホテルで飲み会していたそうです(笑)

製図試験予定日当日

台風がすでに過ぎ去って、とても良い天気でした。電車も問題なく動いていました。まったく問題なく試験が出来そうでしたが、台風の影響が出ている地域もあったようなので、中止の判断は正しかったのかもしれません。

いつに延期されるかも決まっていない状態だったので、ボウリングしに行きました。
※怪我して筆記具が持てないなんてことにならないようそれまで指に気を遣っていたので、ここで奮闘しました。

製図試験までの追加講座について

試験が延期になり、授業がどうなったかというと、さらに追加でお金がかかりました。このタイミングで予備校を乗り換える人も多かったです。全5回の講義があり、ここまで来たらもうこのまま課金しようということで5回受けました。

12月 製図試験本番

製図試験当日 試験中のこと

軽食について

製図試験は11時から17時半の長丁場です。私はお昼ご飯を食べずに臨みましたが、エスキスを終わった段階でウィダーインゼリーを飲みました。また、作図途中は当分補給でチョコレートを食べていました。(ちなみに乳酸菌ショコラでした)
毎年軽い飲食は許されているようなので、自分がベストパフォーマンス出来るようにこちらも準備しておくのがお勧めです。※軽食可否については、受検要綱などで念のためご確認ください。

トイレに行く人はいるか?いけるのか?

6.5時間ほぼ座りっぱなしもしくは作図から立っての作業になりますが、トイレに行くことは全然可能です。私の受験会場では、試験監督に挙手して伝えてからの移動でした。私は前の方の席だったのですが、何人かは離席する人は見えました。ちなみに私はトイレに行きませんでした。初受験ということもありエスキスも作図も時間がかかるほうだったので、トイレに行きたくならないように飲食は最低限にしていました。

ただ、行きたいときは問題なく行けるので、心配しなくて大丈夫です。時間を気にして我慢してパフォーマンスが落ちるのと比べたら、さっと行ってしまったほうがいいかなと私は思います。

製図板が当日壊れたら?(予備校に通っている場合)

こんなアクシデントさすがにないだろうと思っていましたが、私の知り合いでいました。試験会場についてから、まず動作確認をしたほうが良いです。

壊れてしまった場合、会場の外で某資格予備校の社員が待機しているので事情を話しましょう。
私の知り合いは製図板を借りることが出来たようです。
こういうところも手厚いのは助かります。

製図試験後の流れ

図面復元会

試験が17時半に終了し、学科試験と同様にその足で資格予備校へ向かいます。
製図試験の用紙は提出してしまい手元にないため、持ち帰ることが出来るエスキス用紙をもとに書いた図面を復元します。要点に関してはまったく控えがないので忘れないうちに書き起こしましょう。当日中であれば意外と覚えているもので驚きます。

合格採点会

提出図面の採点が行われ、提出から1週間後に採点会が行われました。それぞれに枠があり、自分の指定時間枠に予備校へ行きました。私のそこでの採点結果は Ⅰ-B でした。
※採点の順位 Ⅰ-A>Ⅰ-B>Ⅱ-A>Ⅱ-B>Ⅲ>Ⅳ  
某予備校の採点方法では、Ⅰ-Aから順に合格者が決まっていきます。

合格発表は翌年2月

毎年、試験の約2か月後が合格発表のため、翌年2月に合格発表がありました。2018年の終わりから予備校に通っていたことを考えると1年以上時間を費やしました。結果的には無事に合格することが出来ていましたが、合格発表までは落ち着きませんでした。気にしても結果は変わらないことを考えると切り替えが大事だなと思います。

私の場合、試験直後は京都へ行き、北野天満宮で絵馬を書き、遅めの紅葉を満喫しました。

ちなみに合格発表の前日は、気を紛らわす目的もあり出雲大社へ行っていました。サンライズ出雲の旅を満喫していました。(機会があればサンライズ出雲の体験談もまとめたいです)
長い間ずっと試験勉強漬けになっていたので、とにかく頑張ったご褒美と思っていました。

最後に

私は二級建築士も受験しましたが、一級建築士試験は比にならないくらい難しかったです。時間も忍耐力も精神力も、、いろいろなものが試される試験だと思っています。

こちらを読んでる皆さまが合格できますように!頑張ってください。

コメント

  1. シェフレラ より:

    はじめまして。
    記事を読ませていただきました。
    これから一級建築士を受験するにあたり、大変参考になりました!これからもツキトジさんの記事を楽しみにしています!

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